8月22日
和服(わふく)
日本古来の着物を洋服(ようふく)と区別(くべつ)して、和服と言う。
どこの国にもその国古来の民族(みんぞく)衣装(いしょう)があるが、文化の交流(こうりゅう)が進むと多くの国で同じスタイルの服が着られるようになる。そして古くからの民族衣装は日常の生活の中では見られなくなり、お祭り(おまつり)や儀式(ぎしき)はど限(かぎ)られた時にしか着られなくなる。日本の和服も例外(れいがい)ではない。
現代の若い日本人が和服お着る機会は特别(ひじょう)に少ない。特に男が和服を着るのはせいぜい一生に一度の結婚式の時に、借りて着るぐらいだ。それも、和服を着なければ式ができないわけではない。
女性は男性に比較(ひかく)して、和服を着る機会が少し多い。日本では毎年一月十五日に、二十歳(はたち)になった男女を集めてお祝いの式を挙げる(あげる)。その日は成人(せいじん)の日といって、国民の祝日(しゅくじつ)になっており、全国の市や町で成人式が行われるが、生活が豊か(ゆたか)になるにつれて、式に出席(しゅっせき)する女性の和服姿(すがた)がだんだん目立つようになってきた。ぜいたく(贅沢-奢侈)があまり非難(ひなん)されなくなって最近では、和服を着る人のほうがおおくなっているに違いない。
男の和服は色が地味(じみ)で、黒か紺か(こんか)、茶色のがおおいが、女性の和服は華やかだ.色どりどりで美しい。ただし、原色の濃いものは少ない。昔から日本の風土(ふうど)や気候には淡い中間色が似合った(似合うーにあう)と思われる。現代では和服はほとんど芸術品(げいじゅつひん)なので値段も高い。女性の和服は、安いものでも若い人の一か月の給料では買えないくらいだ。
自分の和服を持っているは少ないが、多くの女性は成人式の時に作る。そして卒業式(そつぎょうしき)や、友人の結婚式などでそれを着る機会がある。ただ、女性の和服は着方が難しく、わかしい話だが、自分で着られない人は少なくない。日本の着物は着る人の体に合わせて作るのではなく、「体に合わせて着る」ことになっているからだ。
これのほかに和服を見るのは、夏祭り(なつまつり)と旅館で使われる「浴衣(ゆかた)」がらいだが、もともとこれは風呂上り(ふろあがり)に着るものだった。
長い間、日本は外国との交流がなかったが、この百年ぐらいの間にヨーロッパやアメリカの文化を学び(学ぶーまなび)、服装もかわってきた。しかし日本人はいつも他人のまねをするだけで、みんなとしがうことができなかった。戦争の時代にはみんなが同じ色で同じ形の服をきていた。戦争(せんそう)が終わって平和(へいわ)になってからもいつも风行(りゅうこう)に追われ(追うーおう)、ベージュがはやればベージュ、ワインカラーがはやればみんながワインカラーの服を着る。日本人がやっと個性のある服装で生活ができるようになったのは、ごく最近のことに過ぎない。
「日本語で学ぶ日本語」による