むかしむかし、お殿さまがかごにゆられて家来たちと散歩を楽しんでいると、一人で田んぼを耕している百姓がいました。
很久很久以前,有个老爷坐着轻轻摇晃的轿子,和家丁们一起很享受地在散步时,看到有个农夫一个人在耕田。
百姓の名前は、『いち朗』といいます。
那农夫的名字叫做『一朗』。
そのいち朗に、家来の一人が尋ねました。「これこれ、このあたりに金剛院(こんごういん)というお寺があるそうだが、どちらの方に行けばよいのだ?」
有一个家丁问一朗「喂喂,听说这附近有个叫金刚院的寺庙,请问要往哪边去呢?」
すると男は、使っていたスキを片手で持ちあげて、「それなら、あちらへ行きなされ」と、スキで示しながら言ったのです。
那男子用一只手拿着犁,「如果是去那里的话,就走那边吧」一边用犁指着,一边说道。
スキはとても重たい農機具なので、それをひょいと片手で持ち上げた百姓を見て、殿さまはびっくりです。
犁是很重的农具,看到能用一只手轻松拿起犁的农夫,老爷大吃一惊。
そこで、家来に言いました。「あの者に、名前を聞いてみよ。そして、どれほどの力があるか問うてみい」
于是就对家丁说道「问问那个人的名字。再问问他力气有多大」。
そこで家来が聞くと、「へい。いち郎と申します。そして力なら、そのお二人でかついでいるカゴを、一人で楽々かつげます」。
于是家丁就问道「恩,我叫一朗。要说力气的话,那两个人扛着的轿子我一个人就能很轻松地扛起来」。
そう言っていち郎は両手で大きな石を持ってきて、かごの一方にくくりつけると、肩にひょいと担いでそのまま歩き出したのです。
一朗这样说着,一边双手拿着大石头,绑在轿子一边,然后很轻松地抗在肩上走。
これには、殿さまも大喜びです。「まことにすごい力じゃ。お前のような力持ちは、今まで見たことがないぞ。して、いち朗、お前はどれほど飯を食うのだ?」
看到如此,老爷大喜。「真是力大无穷啊。我第一次看到你这么大力气的人。那么,一朗,你吃多少饭?」
「そうですね。軽く三升は食べますが。」「ほう。一日に三升とはすごいのう。」「いいえ、朝、昼、晩毎に、三升食います。」
「这样啊。至少吃三升吧。」「哦,一天三升可真厉害啊。」「不是的,是早饭,午饭,晚饭各三升。」
「・・・・・・」これには、殿さまも言葉がありません。「さてさて、力は強いが、その分、名前通りの大飯ぐらいだの。」
「・・・・・・」老爷无语了。「力气是大,可也真是名副其实的大饭量啊。」
殿さまは、この男を家来に召し抱えようと思ったのですが、毎回それだけ食べられては、城の財政が破綻してしまいます。
老爷原本打算招这男子做家丁,可是一想到每次要吃那么多饭,会让家里破产的呢。
「残念、残念じゃ」殿さまはそう言うと、城に帰って行きました。
「可惜,可惜」老爷这样说着,就回府了。
そして、この話を聞いた村人たちは、「大飯食らいは損をする」と、子どもたちに語り継いだそうです。
之后,听说了这件事的村民们就讲述给孩子们听「饭量大会亏本」