日语翻译文学作品赏析《朝おき雀》

   2014-01-17 2670
核心提示:七ツニナレバオシヨウガツキタヨコンドハイクツコンドハ六ツキヨネンハ五ツ七ツニナレバガツカウヘイクヨランドセルシヨツテゴホンヲイレテアミアゲハイテボウシヲカブリオテテヲフツテヒトリデイクヨ神詣年の初めの神まゐりお手々合はせてお社にみ国の栄え心から神にお願ひかけました空もしづかにほのぼのとすがすがしくも明けていく年賀状お友達から年賀状字まで正し

七ツニナレバ
オシヨウガツキタヨ
コンドハイクツ

コンドハ六ツ
キヨネンハ五ツ

七ツニナレバ
ガツカウヘイクヨ

ランドセルシヨツテ
ゴホンヲイレテ

アミアゲハイテ
ボウシヲカブリ

オテテヲフツテ
ヒトリデイクヨ

 

神詣
年の初めの
神まゐり

お手々合はせて
お社に

み国の栄え
心から

神にお願ひ
かけました

空もしづかに
ほのぼのと

すがすがしくも
明けていく

 

年賀状
お友達から
年賀状

字まで正しく
丁寧に

明けて新年
お目出たう

大きく書いて
その次に

優等生に
なるやうに

僕も今年は
去年より

勉強しますと
書いてある

 

田舎の正月
田舎の正月ア
長閑のどかだナ

豊年祭りも
もうすんだ

畑の仕事も
皆了へた

田甫たんぼの仕事も
皆了へた

どの家も俵は
積んである

村中にこにこ
むつましい

山でも森でも
ほほえんだ

軒端にや朝から
日が当り

鶏雄鶏
遊んでる

うまやの馬まで
気楽だナ

 

初夢
正月二日ノ
ハツユメニ

エンヤラヤ
ギツチラコ

イソイデコイコイ
タカラブネ
ギツチラコ
エンヤラヤ

タカラヲヤマホド
ツンデコイ
エンヤラヤ
ギツチラコ

イソイデコイコイ
タカラブネ

 

万歳さん
お正月は
目出たいな

万歳まんざいさんは
目出たいな

つづみを叩いて
ポンポンポン

ともの才蔵も
目出たいな

ニコニコニツコリ
目出たいな

頭巾をかぶつて
笑ひ顔

鼓を叩いて
ポンポンポン

 

凧あげと羽根つき
風吹け風吹け
早く吹け

海から山から
青空に

凧あげするから
風よ吹け

羽根つきするから
風吹くな

お庭にお屋根に
青空に

羽根つきするから
風吹くな

 

豆マキ
福ハオウチニ
鬼ハソト

豆マキパラパラ
パァラパラ

鬼ハビックリ
大サワギ

豆ニハカナハン
タイヘンダ

福ハオウチデ
ニツコニコ

ソレマケソレマケ
モツトマケ

豆マキパラパラ
パァラパラ

鬼ハアワテテ
エツサツサ

 

初午の太鼓
初午だ
初午だ

ドドンカドン
ドドンカドン

お稲荷さまの
お祭りだ

ドドンカドン
ドドンカドン

みんな来い来い
早く来い

狐のお面が
はじまつた

 

お雛さま
いつでもやさしい
お雛さま

今年も来ました
おそろひで

お口もきかずに
おとなしく

きちんとならんで
お上品

去年は白酒しろざけ
あげました

今年も白酒
あげましよか

緋桃ひももも綺麗に
咲いてます

お遊び下さい
お雛さま

 

春ノ兎アソビ
ミンナコイコイ
ハヤクコイ

ハルハタノシク
ゲンキヨク

ウサギアソビヲ
イタシマセウ

オニハデピヨンピヨン
ハネナガラ

グルグルマハツテ
オモシロク

ピヨンピヨンハネハネ
アソビマセウ

 

一年生
ボウシモオクツモ
アタラシク

イヨイヨケフカラ
一年生

マイアサガツカウヘ
マヰリマス

オウチヘカヘレバ
タダイマト

ガツカウノオハナシ
イタシマス

 

おはやう
おはやうおはやう
今日こんにち

お靴もひとりで
はきました

歩けばキツキと
鳴りました

みなさんおはやう
今日は

唱歌も元気に
歌ひます

楽しい遊びも
いたしませう

 

土筆ノ行列
ツンツンツクツク
ツクシンボ

ツンツン土筆ツクシ
原ツパニ

ツクツク並ンデ
立ツテマス

帽子モ揃ヒノ
帽子デス

袴モ揃ヒノ
袴デス

ツクツクツンツン
ツクシンボ

コツチヲ向イタラ
向イタキリ

アツチヲ向イタラ
向イタキリ

ツンツン並ンデ
原ツパニ

ツンツンツクツク
立ツテマス

 

春が呼ぶ
畑の中から
春が呼ぶ

春は菜種の
花を呼ぶ

菜種も呼ばれて
花が咲き

野原の中から
春が呼ぶ

春は菫の
花を呼ぶ

菫も呼ばれて
花が咲く

 

潮干狩
ハダシデピチヤピチヤ
シホヒガリ

ハマグリアサリハ
スナノナカ

コガニハチヨロチヨロ
ニゲマハル

チヨロチヨロコガニガ
ニゲルノヲ

ハマグリアサリヲ
フミナガラ

ハダシデピチヤピチヤ
オヒアルク

 

汐干狩
友と連れ立ち
汐干狩

汐干の渚や
遠浅に

拾ふ小さな
貝の数

月の数ほど
打つ波に

汐干の渚も
汐は満ち

いつかあたりは
海となる

 

チンチン電車
チンチン電車
チン電車

チンチン鳴らして
とまります

チンチン電車
チン電車

チンチン電車
ならびます

あれあれ電車
あの電車

電車と電車が
つづきます

 

春の風
みんな出て来い
日の丸持つて

春が来た来た
舒畅だナ

ひろい野原に
大空に

吹く春風は
舒畅だナ

手には日の丸
ひらひら国旗

春が来た来た
舒畅だナ

靴もる軽る
帽子に旗に

吹く春風は
舒畅だナ

 

春の田の中
田甫たんぼの田の中
春になり

泥田に寝てゐた
田螺たにしさへ

朝から出て来て
遊んでる

氷が張るから
寒いから

田螺は冬より
春が好き

田甫の田の中
春になり

蛙も
目を覚まし

朝から元気で
遊んでる

蛙もどじよう
春が好き

田螺と一緒に
出てあるく

 

森で啼く鳥
森の森の
真ン中

背高せいたかのつぽの
杉の木に

春になると
鳥が

チンカラチンと
とまる

何んと啼いた
鳥だ

青空見てゐて
啼く鳥だ

杉にちやんと
とまり

チンカラチンと
啼いた

 

春の空
空は奇麗に
晴れてゐる

毎日毎日
よい天気

遠くの山も
よく見えた

山の上まで
雪が解け

小藪でさへづ
鶯に

うれしいうれしい
春が来た

 

菜の花
とまれよとまれ
蝶々よとまれ

畑の中の
菜の葉の上に

蝶々のすきな
菜の花咲いた

咲いたよ咲いた
きれいな花が

菜の葉の上に
ヒラヒラヒラと

蝶々よとまれ
菜の花咲いた

 

桜と小鳥
山にも里にも
春が来た

小鳥のお母さん
春が好き

ツーピーツーピー
ツーピツピツ

小鳥のお母さん
花も好き

花では桜の
花が好き

ツーピーツーピー
ツーピツピツ

山にも桜の
花が咲き

里でも桜の
花が咲く

ツーピーツーピー
ツーピツピツ

 

学校の前
学校の前は
畑です
畑の菜の花
咲くころに

わたしは入学
したのです
それから今日は
一年目

今年も菜の花
咲きました
わたしは二年に
なりました

畑に菜の花
咲くたびに
毎年進級
いたします

 

桜花咲く
咲いて見事に
ひらひらと

散るも勇まし
桜花

桜の花は
いさざよき

わが日本の
ほこりなり

頃も弥生の
春に咲き

富士の高嶺も
うららかに

人の心も
のびのびと

勇ましゆかし
限りなく

花の吹雪と
やがて散る

国のほこりの
桜花

 

田螺の泥遊び
田甫たんぼ田螺たにし
泥だらけ

お顔がどこだか
わからない

お目々もどこだか
わからない

お顔もお目々も
泥だらけ

たんたん田螺は
田の中に

朝から晩まで
泥遊び

あつちへ転げて
どつこいしよ

こつちへ転げて
どつこいしよ

 

ひよこ
ひよこのお家は
よいお家
朝からぽかぽか
日があたる

コツココツコと
親鶏が
ひよこを呼び呼び
遊びます

ひよこはピヨピヨ
親鶏の
背中へあがつて
遊んだり

羽根の蔭から
間から
首を出したり
隠したり

ひよこは毎日
親鶏と
元気に楽しく
遊びます

 

雲雀と蛙
雲雀ひばりと蛙の
鳴きくらだ

雲雀が負けたら
お空から

ピーチクチクチク
逃げて来る

蛙も負けたら
田甫たんぼから

ゲコゲコゲツコと
逃げて来る

どつちも負けずに
うんと鳴け

雲雀はどうやら
負けさうだ

蛙もどうやら
負けさうだ

どつちも鳴きくら
くたびれる

 

ドンドンバシ
ドンドンバシノ
シタニハ

メダカガオヨイデ
アソンデヰル

ドンドンバシヲ
トホルト

メダカガミンナデ
ニゲテイツタ

ドンドンバシヲ
ワタルト

ドンドンドント
ナルカラ

メダカガ
タマゲルノダ

 

子守唄
遠くの遠くの
竹山に
露から生れた
お姫さま
姿もやさしく
きりようよし

つづれの錦の
帯をしめ
着物は振り袖
一重褄ひとえづま
模様は桜の
花ちらし

小笹のお舟に
帆をかけて
黄金のお鈴を
振りながら
ねんねする子を
たづねます

お舟に積んでる
お土産は
金銀珊瑚さんご
よいおもちや
この子のお好きな
ものばかり

 

燕と柳
柳の下から
燕が水汲む

柳の下には
小川が流れる

小川の中から
すいすい汲みます

くちで汲むから
はねがぬれます

燕のお家は
軒端の蔭です

軒端の蔭から
すいすい出て来る

柳の下から
飛び飛び汲みます

お嘴で汲むから
お翼がぬれます

 

田植
今朝から田植が
はじまつた

一枚植ゑれば
またつぎへ

つぎからつぎへと
植ゑてゆく

ひろい田甫たんぼ
すみまでも

日のくれごろには
残りなく

みんな青田に
なつてゆく

 

蛙の幼稚園
お池は蛙の
幼稚園

毎日泳ぎの
稽古です

バッチヤバッチヤ
ザンブザンブ
シユシユシユ

一番上手に
ずんずんと

泳ぐは蛙の
先生です

バッチヤバッチヤ
ザンブザンブ
シユシユシユ

泳ぎの出来ない
子蛙に

泳ぎを教へて
ゐるのです

バッチヤバッチヤ
ザンブザンブ
シユシユシユ

 

燕の泥ぬり
燕のおうち
泥の家

田甫たんぼの泥土
はこんだり

お堀の泥土
はこんだり

お口で壁ぬり
いたします

忙がし忙がし
ピイチクチー

お口もよごれて
泥だらけ

お花が咲いても
いきません

せつせとお家を
つくります

 

目高
大きい目高は
隊長さん

ツンツクツクツク
ツンツンツン

小さい目高は
兵隊さん

負けずにツクツク
ツンツンツン

どんなにこの川
深かろが

どんなに流れが
早かろが

目高だ目高だ
行列だ

ツンツンツクツク
ツンツンツン

 


ほたるはたんぼで
ひかります

ほたるのひかりは
ぴつかりこ

ぴつかりぴつかり
ぴつかりこ

ほたるはとんで
すういすういにげる

たんぼのたのなか
すういすうい

 

沼の鮒釣り
銀鮒金鮒
沼の鮒
沼の鮒釣り
面白い

釣竿かついで
友達と
田甫たんぼの釣道
エッサッサ

大鮒小鮒が
寄つて来る
沼の縁でも
よく釣れる

今日もにこにこ
元気よく
沼の鮒釣り
エッサッサ

 

螢狩り
螢来い来い
ここへ来い

田甫たんぼは泥田で
いかれない

泥田の田甫は
飛んで来い

螢来い来い
ここへ来い

川が深くて
いかれない

川が深くば
飛んで来い

 

どんと波
どんと波来い
沖から来い

遠くの沖から
つづいて来い

大波小波で
仲よく来い

来い来い来い
どんと波来い

どんと波どん
どんどんどん

道草しないで
急いで来い

仲よくをか見て
どんどと来い

来い来い来い
どんと波来い

 

オハナバタケ
タカイトホクノ
オヤマニハ

オハナバタケガ
アルノデス

オハナバタケニ
サクハナハ

ナツヲマツテテ
サキマシタ

アカヤキイロヤ
モモイロヤ

シロヤシボリヤ
ムラサキヤ

ミンナミゴトナ
ハナデシタ

 

お風呂
お風呂が沸いた
もう沸いた

おもちやの金魚が
浮いてゐる

一匹二匹
三四匹

金魚と一緒に
はいりませう

おもちやの金魚は
面白い

沈めてやつても
浮きあがり

泳げといつても
泳がない

お風呂に並んで
遊んでる

 

お星さん
空でピカピカ
お星さん
あれあれお目々が
光ります

空の上から
遠くまで
毎晩寝ないで
見てゐます

小さいお星は
ねむいから
お目々がぽちぽち
するのです

それでもやつぱり
ねむらずに
お目々をこすつて
起きてます

 

お池つくり
夏はお庭で
父さんと

お池こさえて
遊びませう

お庭掘つたら
真つ先きに

裏の井戸から
父さんと

水をバケツで
運びませう

ざんぶざんぶと
涼しそに

水がお池に
たまつたら

金魚いかして
眺めませう

 


海は青くて
きれいです

海を眺めて
をりますと

夏でも凉しく
なるのです

海は広くて
舒畅です

波と波とが
どんどんと

まけずに駈けくら
いたします

 

ささぶね
ささのはつぱの
ささぶねは

川をながれて
いきました

川はうみまで
つづきます

なみもうみには
うつてます

ろもないほもない
ささぶねは

どこまでながれて
いくのでせう

 

すつぽん亀の子
註*満洲国の河。外蒙古と内蒙古の国境が北へ向かつて興安嶺につき当つた辺から東へ流れ出してゐます。下流は闻名な松花江であります。

□児河ドルガ*の亀の子
スツポンポン

すつぽん亀の子
ピツチヤピチヤ

ピチヤピチヤ首出せ
スツポンポン

すつぽん亀の子
泥だらけ

泥から匍ひ出す
スツポンポン

□児河の泥水
ピツチヤピチヤ

 

夕立
夕立駈あし早いあし
出て来た出て来た入道雲

たちまちお空にひろがつて
見る間に降り出す強い雨

鳴り出す鳴り出す光り出す
ピカピカゴロゴロ稲光り

忽ちお空を駈けぬけて
早いぞ早いぞ入道雲

 

螢と露
空のお星が
落ちて来て

蛍の光に
なつたとサ

蛍の光は
すいすいと

夜露をたづねて
飛んでます

夜露も空の
お星から

草の葉木の葉に
降るのです

螢もお星を
忘れずに

夜露をたづねて
飛んでます

 

七夕
毎年マイネン七月
七日ニハ

タンタン七夕
星祭リ

タンタン七夕
来タナラバ

タンタン短冊
歌カイテ

短冊ツルシタ
竹タテテ

タンタン七夕
祭リマセウ

 

カミシバヰ
ハジマルハジマル
カミシバヰ

アワテタネズミノ
オシバヰダ

チヤンキチヤンキ
チヤンチヤン

コネコニオハレタ
オヤネズミ

タマゲテアワテタ
オシバヰダ

チヤンキチヤンキ
チヤンチヤン

 

松虫
チロリンチロリン
チンチロリン

チロチロチロリン
松虫や

ハイハイ御用は
なんですか

野原にゐたとき
どうしてた

チロリンチロリン
なきながら

朝露夜露を
吸ひました

 

セイタカコスモス
セイタカ
コスモス
セイクラベ

オテテヲ
アゲテモ
トドカナイ

タカイナ
タカイナ
カテナイナ

ワタシノ
セイデハ
カナハナイ

 

月と兎
兎はお山で
遊びます

お月さんお空で
見てゐます

兎とお月さんは
昔から

誰でも知つてる
お仲よし

 

虫の声
虫の音楽にぎやかで
誰が聞いても面白い

チロリンチロリン
チロリンチロリン
チンチロリンリンリン

日暮れごろから目をさまし
草や小藪の上に来て

チロリンチロリン
チロリンチロリン
チンチロリンリンリン

夜は友達集つて
細いすずしい声をして

チロリンチロリン
チロリンチロリン
チンチロリンリンリン

 

おるすです
どちらへつばめは
いきました

お国へかへつて
いきました

つばめのお国は
どちらです

お国は南の
遠くです

海こえ海こえ
海こえて

遠くの遠くの
お国です

 

兎の綱引き
お餅もつかずに
どうしたことやら

エンヤラヤツサと
兎の綱引き

お耳を振り振り
どつこいどつこい

すべつてころげる
負けてはならない

さうともさうとも
ひつぱれひつぱれ

加勢が来るまで
勝負がつかなきや

月夜になつても
その綱放すな

よいともよいとも
放せば負けるぞ

 

豚のお鼻
豚のお鼻は
ぶうぶうお鼻

小さい時から
お鼻が鳴つた

歩きながらも
ぶうぶう鳴らす

豚のお鼻は
喇叭ラツパのお鼻

お鼻が喇叭で
お鼻が鳴つた

目さへ覚めれば
お鼻を鳴らす

豚のお鼻は
喇叭のお鼻

 

月夜の竹やぶ
月夜の竹やぶ
たんたん竹やぶ

夜通し
ピカピカ

竹の葉つぱに
何ぢやらう

夜通しピカピカ
何ぢやらう

星が寝ぼけて
来たのやら

星ぢやないない
星ぢやない

月夜に生まれた
露の玉

夜通しピカピカ
まんまるく

竹の葉つぱで
ねんねする

 

狸のいたづら
ゴムのまり
ポンポコポン

狸の太鼓は
腹太鼓

太鼓で毬を
ついたなら

ポンポコポンノポンポコポン

狸も毬も
ポンポコポン

軽い瓢箪へうたん
ポンポコポン

狸の尻尾は
重いから

尻尾で狸が
たたいたら

ポンポコポンノポンポコポン

瓢箪ころげて
ポンポコポン

 

あわてた烏
月夜に烏が
眼をさまし

夜明になつたと
飛び出した

ねぼけて月夜を
忘れてる

あわてた烏は
おかしいなカアカアカア

夜明に烏が
眼をさまし

日暮になつたと
啼き出した

夜明と日暮と
間違へた

あわてた烏は
をかしいなカアカアカア

 

十五夜
まるいお月さん
十五夜さん

まんまるお顔で
にこにこと

空の上から
ハイ今晩は

誰とお月さん
お友達

ぺつたんぺつたん
お餅つく

ぴよんぴよんうさぎと
ハイお友達

 

鳴子
鳴子の綱引け
ガランガランガラン

田甫たんぼの小鳥は
キョロォキョロォキョロォ

引け引けやれ引け
ガランガランガラン

小鳥がそろつて
キョロォキョロォキョロォ

鳴子だ鳴子だ
ガランガランガラン

飛びませう逃げませう
キョロォキョロォキョロォ

逃げぬか逃げぬか
ガランガランガラン

なかなか飛ばない
キョロォキョロォキョロォ

 

案山子
弓矢を握つて
立つてゐる

案山子かかし田甫たんぼ
番兵です

敵の小鳥は
遠くから

案山子を見付けて
逃げていく

簑笠みのかさ仕度で
元気よく

来たら射るぞと
身構へた

番兵の案山子は
勇ましい

 

やまがら
かやの木山へ
やまがらが

かやの実とりに
来てゐます

枝から枝へ
とびうつり

声も高々
なきながら

かやの木山の
かやの木に

かやの実とりに
来てゐます

 

朝オキ雀
アサオキスズメガ
オ日サマニ

チンチンソロツテ
オヤネカラ

オ日サマオハヨト
イヒマシタ

アサオキスズメニ
オ日サマモ

ソラニオカホヲ
ダシナガラ

オハヨウオハヨト
イヒマシタ

 

大根洗ヒ
ミンナナランデ
ダイコンアラヒ

ニイサンモ
ハダシデ

ゴシゴシヂヤンプヂヤンプ
ゴシゴシヂヤンプヂヤンプ

タレモタスキヲ
キリリトカケテ

ネエサンモ
ハダシデ

ゴシゴシヂヤンプヂヤンプ
ゴシゴシヂヤンプヂヤンプ

 

雀ト山茶花
山茶花サザンカノ花ハ
山茶花ノ枝ニ
イクツモ咲イタ

山茶花ノ下デ
山茶花ノ花ヲ
見ナガラ遊ボ

山茶花ノ咲イタ
山茶花ノ枝ヘ
雀モオイデ

 

落葉
落葉おちばの学校の
生徒さん

風の吹くたび
一二の三

エンサカホイサと
飛びまはる

飛ぶのが上手な
生徒さん

みんなそろつて
一二の三

まけずにひらひら
飛びまはる

 


テテポポポツポと
やまばとが

やまでラツパを
ふきました

テテポポテテポポ
ポツポツポツ

テテポポポツポと
やまばとが

やまでふくのが
じようずです

テテポポテテポポ
ポツポツポツ

 

逃げた小鳥
小鳥は丘や
森がすき

丘で遊んで
森で寝る

籠の中には
丘はない

籠の中には
森はない

逃げた小鳥は
空高く

小さいはね
つづくだけ

丘の向かふへ
飛んでいく

森の向かふへ
飛んでいく

 

豆腐屋さんのラツパ
朝起き早起き
豆腐屋さん

お豆腐かついで
ラツパ吹く

トーテトーテトテトの
トテトテト

雨が降つても
休まない

風が吹いても
休まない

トーテトーテトテトの
トテトテト

街から街へ
吹いていく

優しいラツパ手
豆腐屋さん

 

騎兵
みんなぱかぱか
お馬に乗つて
いつも騎兵は
勇ましい

みんなお馬も
鉄靴はいて
とつととつとと
かけてゆく

みんな一緒に
いくさの時は
いつも真先
いさましい

 

おしやべり四十雀
山でカラカラカラカラ
おしやべり四十雀

黒い黒い黒いソフトの
黒い小帽子

白い白い白いエプロン
白いチヨツキ

ピーピーカラカラカラカラ
ピーカラカラピー

森でカラカラカラ
枝から枝渡り

小さい小さい小さいロイドの
小さい目鏡めがね

青い青い青い上衣に
青いマント

ピーピーカラカラカラカラ
ピカラカラピー

 

輪廻し
輪廻しくるくる
面白い

急いで廻せば
早くなる

のろのろ廻せば
おそくなる

とまれば廻らず
直ぐころぶ

転ばず廻れと
かけだすと

くるくるくるくる
よく廻る

 

友だち
皆さん皆さん
お友だち

みんなで仲よく
遊びませう

はねくらなはとび
ランニング

まけても泣いては
いけません

かつても自慢は
いけません

かちくらごつこで
遊びませう

 


雀の朝起き
早いこと

お日さまお顔を
出さぬうち

お目々をさまして
下さいと

坊ちやん嬢ちやん
呼びながら

軒端でちんちん
啼いてます

 

橇と少女子
雪の野原の
遠くから

ちんからちんから
鈴が鳴る

馬に曳かせて
元気よく

鈴を振り振り
そりが来る

鈴の鳴るのを
少女子が

留守居しながら
聞いてゐる

 

村のかぢや
村のかぢやは
早くから
トツテントツテン
トツテンカン

大鎚おほつち小鎚の
鎚の音

つくるすきくわ
鎌唐鍬
トツテントツテン
トツテンカン

朝から晩まで
いそがしい

 

スキー
スキーは舒畅で
面白い

つるつる滑つて
走つてる

下手ではスキーは
走らない

すつてんころりん
よく転ぶ

上手のスキーは
ずんずんと

するするするする
面白く

原でも坂でも
走つてる
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童謡について一言
この童謡集「朝おき雀」は、私が年来主張して来た所謂米英文化に影響されず、郷土即ち本来の日本国民性を護るために聊かなりとも児童の情操教育を培ふ基となれば幸ひであります。それについて童謡の立場から二三挙げて申し述べて見ませう。
一体童謡は、児童の歌でありますから、児童に判りにくいむつかしい文字やむつかしい意味を避けて、誰にも判るやうに書かなくてはならないのです。それは自然の心から生れて来る童心を中心として書くなり作るなりしなくてはなりません。そこでこの童心を除外したり、無視しては童謡は出来ないのです、その上童謡には異性間の愛着があつてはなりません。異性間の愛着のあるのは民謡ですから、童謡は純真無垢と言はるるのもこの点からであります。また教育の上から注意すべきことであります。
童謡には往々、犬と話をしたり、馬と話をしたり対人的の取りあつかひをします。何故かと言ふと犬も馬も万物あらゆるものは人間と同じに見るからであります。まことに子供らしいのが童謡でありますから、世にいふ普通の文学とは変つてをります。ここに童謡の童謡たる所以があるのであります。
さて、この童謡について言ふならば、「赤子は大人の如し」と昔の聖人が言つてゐますがここに言ふ赤子とは赤ン坊の意味でなく純真の心の持主の意味であります。又大人と言つたのも単におとなの意味でなく人々の手本となるべき人の意味であります。今でも目上の人に対して何々尊大人とか書くのと尊敬して書くのと同じ意味であります。要するに「赤子は大人の如し」と言つたのは子供の心には人々の手本となるべき尊い心があると言ふ意味になるのであります。その外にも昔の聖人と言はるる人は言葉が違つてゐても同じ純真さを説いてをります。昔から子供の心は誰でも純真であることがうなづかれます。
童謡を作るには仮へば水の低きに流るるやうなもので、すらすらと書かれるのが本当です。考へ考へ書かれたのは、すらすらとなりません。児童の教育に差支へのない限りはこの点に指導者は注意を要すべきことであります。
童話と童謡とは同じ童心から生まれるのでありますが、童話はお話であつて、童謡は歌でありますから、お話と歌の違ひがありますが、どちらも児童のものであります。歌であるだけ童謡は言葉の調子旋律に重きをおきます。どんなことでも童謡になると思ふのは、違ひます。童謡になるものと、ならないものとあります。童謡にならないものを童謡にしようと思ふと苦心を要します。苦心をした上によくは書けないのであります。この点も指導者はよく考へる必要があると思はれます。
輝き渡る日本の国です。国民性の純真無垢の児童の心を培ふことが、将来のためにも、又、郷土色を多少でも養ふことがわれわれの努めであります。

昭和十七年五月一日
野口雨情

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