まず、日本語を全く知らない読者を想定して、日本語の文法の簡単な紹介をしましょう。日本語で特に大事なのは、助詞と動詞です。
首先想为完全不懂日语的读者们简单介绍一下日语的语法。在日语中最重要的就是助词和动词。
1.日本語の文の基本的な仕組み:SOVで、助詞が重要な言語
1.日语句子的基本结构是SOV(主·宾·谓),助词十分重要
はじめに、日本語の簡単な文を1つ見てみましょう。
首先一起看一个简单的句子吧。
(1) 田中さんはお茶を飲みました。(Tanaka drank tea.)
(1)田中喝了茶。(Tanaka drank tea.)
この文は「田中さんは」「お茶を」「飲みました」と、3つの部分に分かれます。「田中さんは」のうち、「田中さん」は名詞で、人の名前です(「田中」がfamily name、「さん」はMr.やMs.にあたる言葉です)。「は」は助詞particleと呼ばれるものです。「お茶を」のうち、「お茶」は名詞で、teaです。「を」は助詞です。そして「飲みました」がdrinkにあたる動詞の過去形です。
这个句子可以分为“田中さんは”(田中)、“お茶を”(茶)、“飲みました”(喝了)三部分。在“田中さんは”里面,“田中”是名词,表示人名(其中“田中”是姓氏,“さん”是相当于“先生”或“女士”之类的敬语);“は”是助词。在“お茶を”中,“お茶”是名词,意思是“茶叶”;“を”是助词。另外“飲みました”是动词“喝”的过去式。
主語·目的語·動詞の順に言葉が並んでいますね。そうです、日本語の基本語順はSOVなのです。
日语就是这样以主语·宾语·谓语的顺序排列的。因此日语的语法顺序就是SOV型。
助詞の「は」「を」は、何のために付いているのでしょうか。「を」のほうから説明しましょう。簡単にいえば、「を」は「目的語のしるし」object markerです。「を」の前の「お茶」が目的語であることを示します。「は」は「主語のしるし」subject markerです(と、この段階では説明しておきましょう)。
那么助词“は”“を”的作用是什么呢?先从“を”开始解释吧。简单说来“を”是宾语的标志,它提示前面的“茶是宾语,”は“是主语的标志(初级阶段暂作此解释)
ついでに、次の文も見てください。
接下来请看下面的句子。
(2) 田中さんは佐藤さんとお茶を飲みました。(Tanaka drank tea with Sato.)
(2)田中和佐藤一起喝了茶。(Tanaka drank tea with Sato.)
(2)を(1)と比べると、「佐藤さんと」という部分が増えていますね。「佐藤さん」は人名、「と」は助詞で、英語でいえばwithのような意味をあらわします。「佐藤さんと」で“with Sato”です。
比起例1,例2增加了“佐藤さんと”的部分。“佐藤さん”是人名,“と”是助词,用英语表示的话就是“with”的意思。因此“佐藤さんと”就是“with Sato(和佐藤一起)”的意思。
(3)田中さんはきっさてんでお茶を飲みました。(Tanaka drank tea at a coffeeshop.)
(3)田中在咖啡馆喝了茶。(Tanaka drank tea at a coffeeshop.)
(3)では、(1)に比べて「きっさてんで」が増えています。「きっさてん」は名詞でcoffeeshop、「で」が助詞で、atのような意味です。
例3比例1多了“きっさてんで”的部分。“きっさてん”是名词“咖啡馆”的意思,“で”是助词,相当于“at(在)”。
(2)(3)を合わせて、次のように言うこともできます。
把例2和例3合在一起说就是下面的表达。
(4)田中さんは佐藤さんときっさてんでお茶を飲みました。(Tanaka drank tea at a coffeeshop with Sato.)
(4)田中和佐藤在咖啡馆喝了茶。(Tanaka drank tea at a coffeeshop with Sato.)
このように、《「名詞+助詞」がいくつか並んで、最後に動詞が来る》というのが、日本語の文の基本的な仕組みです。助詞は、その名詞の、文の中での役割を示します。「田中さん」は主語、「お茶」は目的語、「佐藤さん」は行為のパートナー、「きっさてん」は行為が行われる場所ですね。これが、それぞれの名詞の「役割」ということです。その名詞が文の中でどんな役割を果たしているのかを、名詞の後の助詞が示すわけです。
其实日语的结构就是这样,即一个或多个“名词+助词”的组合,最后再加上动词。助词用于提示名词在句中的作用。如上文说明的那样,“田中”是主语,“茶”是宾语,“佐藤”是动作的伴随者,“咖啡馆”的动作发生的场所。这些就是不同名词的作用。而这些名词之所以能在句中实现这样的作用就是因为名词后面的助词给我们进行了提示。
今述べたような名詞の「役割」は、どの言語でも、何らかの方法で示しています。英語や中国語では、どうしているでしょうか。主語や目的語については語順であらわし、その他の「役割」の名詞については、前置詞でそれをあらわしています。これに対して、日本語では、どの名詞の後にも助詞が付いて、その役割を示すわけです。前置詞prepositionに対して、名詞の後に付く日本語の助詞を後置詞postpositionと呼ぶことがあります。
其实现在讲的名词的作用在任何一种语言中都被各种方法进行标示着。那么在英语和中文里面是怎样的呢?主语和宾语是靠语序来区分的,至于表示其他作用的名词则靠前置词进行标示。与此不同,在日语中所有名词后面都附着着助词,以此来区分其各自在句子中的作用。与前置词相对比,也有人把日语中附着在名词后的助词称作后置词。
ついでにいえば、名詞は漢字で書くことが多いのですが、助詞は必ずひらがなで書かれます。漢字の後のひらがなが大事な文法的情報をあらわすのだと、まず認識してください。
接下来讲的内容是:虽说名词大都用汉字表示但助词却必须写成平假名。请一定要认识到跟在汉字后面的平假名能提供重要的语法信息。
以上が、日本語の文の仕組みの要点です。SOVとか後置詞とか、変わった言葉だなあと思う人もいるかもしれませんね。しかし、決して変わった言葉ではありません。実は、世界の言語の中で、SOVの言語は半数近くを占めるという報告があります。英語?中国語?ロシア語……と、たまたま有力な言語のほとんどがSVOなので、SOVが珍しく感じられてしまいやすいのですが、世界的なレベルで統計的に見れば、SOV言語はいわば二大勢力のうちの一つなのです。
以上就是日语语法结构的重点。可能有人会想:又是SOV又是后置词的,日语真是门奇怪的语言。但是实际上日语并不奇怪(小编添:只是和中文的语序不一样啦,遥想古汉语的宾语前置就好)。有报告称世界上的语言中SOV型的语言占了将近一半。可能一些比较有力的语言像英语、汉语、俄语等是SVO型的,因此容易给人造成SOV型语言比较稀有的错觉。但就整个世界体系来看SOV型的语言绝对是两大语言势力之一。
また、基本語順がSVOなら前置詞が使われやすく、SOVなら後置詞が使われやすいという傾向も、一般言語学的に指摘されています。つまり、世界の言語の代表的な2つのタイプとして「SVO,前置詞」型と「SOV,後置詞」型とがあり、日本語は韓国語やトルコ語とともに後者のタイプに属するのです。決して変わった言葉ではなく、「もう一つのタイプ」なのです。母語が「SVO,前置詞」型である人にとっては、ちょっと大変かもしれませんが、全く新しい言語世界が広がるという意味で、日本語の学習はとても豊かな体験になることでしょう。
另外有语言学的说法称:基本语序是SVO型的话前置词的使用会比较容易,相反如果是SVO型的话后置词的使用会比较容易。也就是说这两者就是世界语言的两大代表——“SVO、前置词”型和“SOV、后置词”型。日语、韩语和土耳其语就属于后者。所以这些语言绝对不是奇怪的语言,只是另一种类型的语言而已。虽说对母语是“SVO、前置词”型的人来说可能会感到有点奇怪,但就开阔了另一个语言世界来说学习日语真是一个十分丰富的体验。
さて、日本語はこのような言語ですから、助詞はとても大事です。個々の助詞について、たとえば「と」はこういうときに使う、「で」はこういうときに使う……といったことは、かなり一般化して捉えることができるので、初級の段階から、かなりしっかり身につけることができますし、また、そうしていく必要があります。ただ、一般的なルールだけでは捉えきれない部分もあります。それは、たとえば英語の前置詞についても、外国人にとっては、どうしてここがonではなくてinなのだろうといったことが時々あるのと同じようなものです。助詞に限りませんが、《一般的なルール?傾向》と《個別的に覚えなければならない部分》とを、賢く習得して行ってください。 なお、助詞には、名詞の後に付くものだけでなく、ほかにも、いくつかの種類があります。
话说回来日语就是这样的语言,助词十分重要。但在初级阶段靠规则就能将一个个助词(比如“と”“で”等)的使用场合都弄清楚,而且很有必要随着学习的深入区分得更加清楚。但是也有一些部分是规则以外的。这就相当于就像对外国人来说区分英语中“on”“in”的用法一样。其实不只是助词,其他部分也有“规则内”和“规则外”的用法,这些都得好好学习。另外需要补充一点的是助词不仅仅只附着在名词之后,它还有一些其他的用法类型。
たとえば、日本語の疑問文は、語順を変えたりせずに、(5)田中さんはお茶を飲みましたか。(Did Tanaka drink tea?)のように文末に「か」を付けて作るのですが(簡単ですね)、この「か」も助詞の一種で、「文末助詞」sentence particleと呼ばれています。
比如日语的疑问句不需要改变语序,就像(5)田中さんはお茶を飲みましたか(田中喝茶了吗?)。一样,只需简单地在句尾加上“か”就行了(真是简单啊)。这个“か”就是助词的一种,叫句末助词。
2.動詞の後にさまざまな要素が付く言語
2.是种动词后面附着各种要素的语言
助詞とともに、動詞も重要です。もちろん、どの言語でも動詞は文の中心というべきものですが、日本語の場合、特に重要なのは、動詞の後にさまざまな要素が付くからです。先程の「飲みました」も、実は、基の形は「飲む」drinkで、これに「ました」という要素が付いています(「飲むnomu」の最後のuは「ました」の前でiに変わります)。「ました」は、さらに分析すると、politeに述べることをあらわす要素と、過去をあらわす要素とからできています。
和助词一样,动词也很重要。当然虽说不管哪种语言动词都是句子的中心,但在日语中特别重要的是动词后面附着着各种各样的信息。之前讲的“飲みました”实际的基本型是“飲む”,也就是“喝”。因此就可以说是在基本型后面附着了“ました”的要素(“飲む”读音为nomu,读音后的u在接“ました”的时候变成了i)。再分析下去“ました”实际上是表示敬体且表示过去。
同じ「飲む」から作られるさまざまな形をいくつかあげてみましょう。まず、たとえば「飲まない」(「ない」が否定をあらわす)、「飲んだ」(「だ」が過去をあらわす)、「飲んでいる」(「でいる」が進行をあらわす)などのように、否定や時制をあらわす要素が付きます。さらに、たとえば「可能」「使役」「受身」「モダリティ(英語でいえば、may,must,lets……などのような意味)」をあらわす要素も、動詞の後に付きます。「飲める」(可能)、「飲ませる」(使役)、「飲まれる」(受身)、「飲むだろう」(推量)、「飲もう」(意志)などのようにです。英語では、動詞の後に付くのは、-ed,-ing,-sだけで、not,can,mayなどは、動詞とは別のところに置かれますね。日本語では、それらがすべて動詞の後に付くのです。
同样由“飲む”变来的形式有很多,下面为大家试举一下。比如“飲まない”(“ない”表否定)、“飲んだ”(“だ”表过去)、“飲んでいる”(“でいる”表进行)等等,基本型后面可以附带表否定或时态的要素。另外也可以附带表可能、使动、被动、语气等的要素,变形之后就是“飲める”(表可能),“飲ませる”(表使动)、“飲まれる”(表被动)、“飲むだろう”(表推量)、“飲もう”(表意志)等等。英语里就只是在原型后加ed,ing,s;而not,can,may之类的词会放到其他句子的地方,但在日语中,这些要素全都附着在动词之后。
当然、それらが2つ以上重なって付くこともあります。たとえば、「飲まされなかったはずだ」という場合、「飲む」の後に使役·受身·否定·過去·モダリティと、5つもの要素が付いています。このようなタイプの言語は膠着語agglutinative languageと呼ばれます。日本語は典型的な膠着語です(この点も、韓国語やトルコ語と同じです)。なお、2つ以上の要素が重なって付く場合、その順序にはある程度のきまりがあります。 このように、動詞の後にさまざまな要素が付くのが日本語の特徴です。これらの要素まで含めた全体を動詞と捉えるとすれば、日本語の動詞は、とても豊かな情報を持ち、また、まことにさまざまな形に変化することになります。
当然,动词的词尾可以附着多个要素。比如“飲まされなかったはずだ”这个句子中,动词后面跟了使动·被动·否定·过去·语气5个要素。其实这种类型的语言可以被称作黏着语。日语就是典型的黏着语(在这一点上韩语和土耳其语也是一样)。另外,在多种要素同时添加的时候,其顺序有一定的添加规则。像这样,在动词后添加各种要素是日语的特征。当这些要素全跟在动词后面时,日语里的动词就附带了大量的信息,而且也能进行各种各样的变形。
そこで、日本語を習得する上では、このように動詞のさまざまな変化形をしっかり身につけて、すらすらと使えるようにしていくことが、とても大切な一面になります。大変そうに思えるかもしれませんがルールをしっかりおさえて追っていけば、大丈夫です。これについては次のページ「動詞とその活用」で詳しく述べましょう。 なお、動詞が文末に置かれる上、その動詞にいろいろな情報が付け加えられるので、日本語の文は最後まで聞かなければ重要な情報がつかめない-肯定か否定か、ということさえわからない-、ということにもなります。この点は不便といえば不便ですが、これを補うために、前もって文末を予告する機能を果たす副詞もいろいろ発達しているので、実際にはそれほど不便でもありません。
因此在学习日语的过程中,好好掌握动词的各种变化并且能熟练运用是十分重要的。虽说听上去比较吓人但只要掌握了规则就没问题的。关于这方面就在下一页“动词及其活用”中为大家做详细叙述。另外由于动词都在句末,而且上面汇集了各种各样的信息,因此在日语中,连只是想明白这句话究竟是肯定还是否定都需要听到话语的最后。虽说是有些不方便,但为了弥补这一缺点,句中预示句末状态的副词异常发达,因此其实也没那么不方便。
3.語順の自由度が高い言語
3语序灵活变换程度高的语言
先程、日本語の基本語順はSOVだと述べましたが、最も大事な点は《動詞を最後に置く》という点です。これさえ守れば、実は、これ以外の点では日本語の語順はかなり自由で、主語を目的語より後にまわすことなども可能です。
之前我们讲了日语的基本语序是SOV(主·宾·谓),最重要的是一点是动词要放到最后。其实只要记住这一点就行了,除此以外的日语的语序是非常灵活的。甚至有些情况下主语都有可能出现在宾语之后。
なぜでしょうか。まず、今見たように、動詞の部分がいろいろな情報を取り込んでしまうため、文全体の構造としては(単文の場合ですが)、動詞以外は「名詞+助詞」(および副詞)がいくつかあるだけという、すっきりしたものになります。その上で、それぞれの名詞には、その役割を示す助詞が付いているわけですから、「名詞+助詞」をセットにして動かしさえすれば、語順を変えても、情報は失われないわけです。 そこで、日本語では語順の自由度がかなり高いのですが、それだけにまた、助詞は一層大事だということにもなります。
这是为什么呢?就像之前介绍的一样,因为动词的部分附加了各种信息,在单句的情况下,剩下的部分就很清晰了,不过是几个“名词+助词”的搭配。另外名词的作用都有其助词作为提示,只要把它们当成组合一起处理,就算变了语序,句子附带的信息也不会丢失。因此日语可以灵活变化语序,也因此助词就显得格外重要。
なお、語順の自由度が高いとはいっても、一般的には《主語を文頭に、目的語を動詞の直前に》という語順が最も自然なので、初めのうちは、やはり、この語順で練習することをすすめます。
同时,虽说语序的自由变换度较高,但最自然的表达依然还是“主语放在句首,宾语紧贴动词放其前面”的顺序,因此在刚开始的时候还是建议大家多多练习此类表达。
4.わかっている名詞+助詞は述べなくてよい言語
4.省略已知名词、副词的语言
(6) あなたはいつ大使館へ行きますか。(When will you go to the embassy? )
(7) わたしはあした大使館へ行きます。(Ill go to the embasy tomorrow.)
(6)你明天去大使馆吗?(When will you go to the embassy? )
(7)我们明天去大使馆。(Ill go to the embasy tomorrow.)
というようなやりとりが、伝統的な日本語の初級教科書にはよく出てきます(「あなた」はyou、「いつ」はwhen、「大使館」はembassy、「へ」は助詞でtoの意味、「行きます」はgo;「わたし」はI、「あした」はtomorrowです)。しかし、実は、日本語では、
在传统的日语初级教材中经常出现这样的表达。(“あなた”是“你”、“いつ”是“什么时候”、“大使館”是“大使馆”、“へ”是“去”、“行きます”是“去”、“わたし”是“我”、“あした”是“明天”)。但实际场合的日语表达却是这样的:
(6) いつ大使館へ行きますか
。
(7) あした行きます。
(6)你什么时候大使馆?
(7)我明天去。
というやりとりのほうが、ずっと自然です。日本語は、わかっている名詞(+助詞)は、主語であっても述べなくてよい言語なのです。このことにも、ぜひ触れておきましょう。 伝統的な日本語教育が「完全な文」を示すのは「文型(構文)」を学習者の頭に入れるためで、これは語学教育の大事な要素ではあるのですが、行き過ぎると不自然なことにもなりかねません。「文型(構文)」の知識を確実に習得して体系的な理解を深めていくことと、自然なコミュニケーションの力を高めること。日本語の学習にあたっては両方とも大切です。
这类的表达才更为自然。日语就是这样语言,即就算是主语,如果是已知信息那么就可以省略。我想先让大家对此有所了解。传统的日语的教育为了让大家记住句型就展示出整个语句。虽说学习句型在语言教育上十分重要,但过度追求完整就容易陷入语言不自然的境地。应该双管齐下,既要好好学习句型进而加深对整个语言体系的理解,又要提高自然沟通的能力。对日语的学习来说这两点都十分重要。