「次第」は次第に分かるぜよ
逐渐明白“次第”的用法
間もなく仕事の関係で日本に行く日本語上級者に敬語や名刺の受け渡しなどのビジネスに関する特訓をした。そして終わった後、打ち上げ会を行ない、ワインで乾杯である。そして彼女いわく、「食事はワインしだいで決まりますね」となかなか洒落た表現を…、ワインにはかなりうるさそうである。
一名日语高级学习者因为工作的关系,马上要到日本去了,我就敬语和名片的交接方式等商务事宜对她进行了特训。结束的时候,开了个完工宴,拿红酒干杯。然后她潇洒地说道,“食事はワインしだいで決まりますね”(根据红酒决定吃什么是吗),看上去对红酒很是精通。
21世纪新谚语辞典:11月的红酒行家
そしてここで「次第」に関してこんな質問を受けた。授業の中で結婚式などの「式次第」にも触れたのだが、この「ワインしだい」と「式次第」は同じ漢字ですかである。うーん、なかなか鋭い質問である。確かに漢字は同じであるが意味はまるで異なる。この「次第」はいろいろな使い方があるので生徒にとって上級になればなるほどややこしくなり、日本語教師としても大変である。
然后,我被问到了跟“次第”有关的这个问题:课堂上讲过结婚仪式的“式次第”(仪式的程序),跟“ワインしだい”是同样的汉字吗。呃,真是尖锐的问题啊。汉字确实是一样的,但意思却完全不同。“次第”有很多用法,对学生来说越是到了高年级越麻烦,对日语教师来说也很辛苦。
先ず、「式次第」のようにいろいろな式を進める場合の順序、順番を意味すると教える。でもこれは普通はほとんど使わない。そして次に「天気は次第に悪くなる」などでこの「次第に」は「だんだん」と同じ意味ですよ、でもこれもかなり硬い表現なので日常会話にはほとんど使われていない。
首先,像“式次第”(仪式的程序)这样,表示各种仪式进行的顺序、程序。但是这个用法一般几乎不使用。然后像“天気は次第に悪くなる”(天气逐渐变得不好了)等,这里的“次第に”跟“だんだん”是一个意思,但是这个也是比较生硬的表达方式,日常会话中也几乎不使用。
そしてさらに「UFOを信じるか信じないかはあなた次第」などの「あなた次第」である。最近このような言い方をよく耳にするが、これはその人の考え方や物事の事情によって決まる、ということで、「ワイン次第」も正にこれであり、「It depends」のように英語でもこのような表現はよく使われている。
而在“UFOを信じるか信じないかはあなた次第”(信不信UFO看你自己)中,“あなた次第”这种用法经常听到,表示这件事情由那个人的想法或事情的情况决定。文章开头的“ワイン次第”也正是这种用法,跟“It depends”一样,英语中这种表达方式也经常被使用。
まだまだある。「満員になり次第締め切る」や「着き次第連絡してください」なども教えなければならない。これは満員になったらすぐに、着いたらすぐに…という意味でよく使われている表現ある。
还有更多用法。如“満員になり次第締め切る”(一满员就结束报名)、“着き次第連絡してください”(一到达就联系我)。这里是一满员就马上…、一到达就马上…的意思,也经常使用。
ここでちょっとややこしいことがある。このような用法の「次第」を接続する場合、日本語教育では前の動詞の「ます形」につけると教える。「満員になる」が「満員になります」で「満員になり次第」となり、「着く」が「着きます」で「着き次第」となる。すると「到着する」や「回復する」などは…。「到着します」「回復します」だから「到着し次第」や「回復し次第」とならなければならない。しかしこれでは「し」が重なって言いにくい…。
这里就有了一个麻烦的问题。上课时我告诉学生,这种用法的“次第”在接续时,要接在动词“ます形”后。“満員になる”是“満員になります”要变成“満員になり次第”,“着く”是“着きます”要变成“着き次第”。这样的话,“到着する”、“回復する”等要怎么接续呢。因为是“到着します”、“回復します”,所以是“到着し次第”、“回復し次第”。但是这里“し”就重复了,说起来很拗口。
そこで日本人は何となく「到着次第」などと「し」を省いて発音している場合が多いのでは…。これは文法的には誤りであり、正しくはやはり「到着し次第」だが、確かに発音しにくい。動詞の種類によってはあまり気にならないものもあるが、「掃除する」などの「掃除次第」はやはり違和感がある。かといって「掃除し次第」も馴染めない。だから「終わる」という動詞の力を借りて「掃除が終わり次第」などと言うのであろう。
于是日本人不知不觉中就说成了“到着次第”,省略了一个“し”。这在语法上是错的,正确的还应该是“到着し次第”,但发音困难。根据动词种类不同也有不太适合的,比如“掃除する”如果说“掃除次第”还是有不协调的感觉,而说成“掃除し次第”也不太熟悉。于是借助“終わる”这个动词,说成“掃除が終わり次第”(打扫结束后…)。
「先生次第で授業も変る」と言われて素直に喜んでいいものか…。また「手当たり次第に…」や「地獄の沙汰も金次第」などの使い方もあり、「次第」は本当にややこしい。どのようにしたらすぐ分かってもらえるか…、一息ついている次第です。
“先生次第で授業も変る”(老师不同课程也会发生变化),听到这话我是该高兴吗…。另外还有“手当たり次第に…”(顺手抓到什么就…)、“地獄の沙汰も金次第”(有钱能使鬼推磨)等用法,“次第”真是很麻烦。怎样能让学生马上明白呢,容我喘口气再接着说。
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